― 「攻めない=逃げ」じゃない。“勝つための選択”という話
試合中、こんな場面はありませんか?
- 「ここで決めたい!」と思って強打 → ネット or アウト
- 低い打点から無理にアタック → ホールディングを取られる
- 崩れた体勢から強引に打って → 相手に楽なボールがいく
そして試合後にこう振り返る—— 「あそこ、無理せず返しておけばよかった…」
でも実は、 無理をしないプレーほど、高度な判断力が必要な“上級の選択”です。
この記事では
- なぜ初心者ほど攻めすぎてしまうのか
- 「無理しないプレー」がなぜ高度なのか
- インディアカ特有の“無理を控えるべき場面”
- 今日からできる思考のトレーニング
を、少し心理学・スポーツ科学も交えながら整理していきます。
レク・インディアカが初めての方は、まず以下の記事を読んでおくと安心です😊



なぜ初心者ほど「攻めすぎて」しまうのか?
1. 得点=いいプレー、という思い込み
多くの人が、こう考えがちです。
- 点を取るプレー = 良いプレー
- 返すだけのプレー = つまらない/消極的
その結果
- 3打目は「とりあえず打たないと」と感じる
- 安全に返しただけだと「申し訳ない」と感じる
- 無理な体勢・低い打点でも“決めにいく”選択をしがち
「打たないといけない」という思い込みが、 むしろチームを苦しめていることも少なくありません。
2. 脳のバイアス:成功体験だけを強く覚えている
人間の脳は
- 派手なシーン
- 感情が動いた瞬間
を強く記憶しやすい性質があります。
そのため
- たまにうまく決まった“無理なアタック”
- 逆転に繋がった一発の強打
だけが印象に残り
「あのとき決まったし、今回もいけるかも」
一方で
- 同じような無理打ちでネットにかけた
- アウトを連発して流れを渡した
といった失敗は、感情的に思い出しづらく、 数字として冷静にカウントされていないことが多いのです。
3. 「周りの目」が安全策を選びにくくする
チームスポーツでは
- 決めた人が目立つ
- 強打した人が褒められやすい
という空気が自然と生まれます。
そのため
- 「返すだけだと怒られるかも」
- 「ここで打たないと評価されないかも」
という無意識のプレッシャーがかかり、 本当は返した方がいい場面でも、無理に攻めてしまうことがあります。
でも実は、 本当にチームをよく見ている人ほど「今の返球ナイス判断!」と評価しています。 この“評価のズレ”も、攻めすぎの原因のひとつです。



「無理しないプレー」はなぜ高度なのか?
1. 状況を複数同時に見て判断しているから
無理をしないプレーには、次の情報を一瞬で整理する必要があります。
- スコア状況(リード/同点/逆転)
- 自分の体勢(安定しているか/崩れているか)
- トスの質(高い/低い/ネットからの距離)
- 相手の守備体勢(準備できているか/崩れているか)
これらを同時に見て、
「今は攻めるべきか?」 「ここは返して粘る方が期待値が高いか?」
を判断しているわけです。
“ボールだけ見て打つ”より、はるかに難しい思考作業だと言えます。
2. リスクとリターンのバランスを取っているから
スポーツ心理学では、
「人は負けそうになると、リスクを取りすぎる」
という傾向が知られています(プロスペクト理論など)。
こうした状況では
「一発で流れを変えたい」 「ここで決めて取り返したい」
という気持ちが強くなり、 本来なら返すべきボールまで攻めに行ってしまうのです。
「ここで1点を取りに行くべきか?」 「ここで1点を失わないことを優先すべきか?」
を冷静に見極めています。
この“リスク管理”こそ、 上級者の思考そのものです。
3. 「自分」だけでなく「チーム全体」を見ているから
無理しないプレーヤーは、
- 自分の調子
- 味方のコンディション
- チームの雰囲気
まで含めてプレー選択をしています。
例えば
- 自分が連続でミスしている → しばらく返球に切り替える
- エースが後ろに控えている → 無理せずつないで任せる
- チームがバタバタしている → とりあえず安全なボールでリズムを整える
こうした「俯瞰した判断」は、 単純に「打つ/打たない」の問題を超えた高度なスキルです。



インディアカ特有の「無理をしないべき場面」
特に、次のような場面では慎重さが求められます。
1. 崩れたレシーブからの3打目
- レシーブがネットに近すぎる
- 走りながらギリギリ触る3打目
- 打点が肩より明らかに低い
こういう場面で強引にアタックすると、
- ホールディング
- ドリブル
- タッチネット
2. ネット際で体勢が崩れているとき
- 体がネット側に流れている
- 手が伸び切ってしまっている
- 足の位置がブレーキをかけられない位置
この状態から強く打つと、
- ネットへ触れてしまう
- 体が相手コートに入り込んでしまう
- 羽球が手の中で止まって反則に見えやすい
など、ルール上のリスクが大きくなります。
ここも、「触るだけ返球」に切り替える高度な判断が必要です。
3. 3セット目や終盤の接戦
3セット目、1点差ゲーム、セット終盤—— こういう「1点の重みが極端に大きい」場面では、
- 決めにいく1点より
- ミスをしない1点
の価値が相対的に大きくなります。
終盤ほど、“攻める技術”より“無理しない勇気”の価値が上がっていく。
この感覚を持てるかどうかが、勝敗を分けます。

