今回は、名古屋市レクリエーションインディアカについて、少し角度を変えた視点で語ろうと思います。
本記事は、レクインディアカを始めてそこそこ慣れ始めた方〜上級者・ベテランの方を対象とした内容となっております。初心者の方も楽しんで読むことはできますが、試合を楽しめるようになってきた頃が一番読んでいて楽しい記事となっていますので、また思い出したときに読んで見てほしいと思います。
本記事は、技術的な理論や戦術・ルールについてではなく、レクリエーション・インディアカならではのゲーム性を俯瞰的に考え、考察しようと試みる内容です。
「二つのゲーム」レクインディアカのゲームを分類
あなたは、「敗者のゲーム」と「勝者のゲーム」という言葉をご存知ですか?
これはテニス界で広く知られる理論であり、もともとは投資や経営にも応用されている考え方です。
簡単に言えば、
- 敗者のゲーム = ミスを減らし、相手の自滅を待つ思考
- 勝者のゲーム = 自分の強みを活かし、攻めて勝ち切る思考
インディアカにこの理論を当てはめると、非常にわかりやすい特徴が見えてきます。
なぜならインディアカは「安全第一」のためにルールが非常に厳密に設計されており、
- 初心者〜中級者では反則や凡ミスが多発する => 敗者のゲーム
- 上級者になるほどラリーが続き、決定力が問われる => 勝者のゲーム
という構造がはっきりと現れるからです。
本記事では、この二つのゲームをインディアカにどう当てはめるかを掘り下げ、“狙わない勇気”と“狙うべき局面” の両立をロジカルに解説していきます。
1. インディアカのルールは「安全」と「精密さ」を最優先する
まず前提として理解すべきは、レクリエーションインディアカのルールが「安全」と「公平」を守るために非常に厳密に作られているということです。
- ホールディング(羽球を運ぶようなプレーは反則)
- ドリブル(手のひら以外でのプレー及び、同じ選手が2回以上触るのは反則)
- タッチネット・相手コート侵入は反則(無理な動きは危険を招くため厳格に管理)
これらの規則は、激しい競り合いの中でも安全にプレーできるようにするためのものですが、同時にプレー精度の低さ=すぐ失点につながることを意味します。
ルールについてはこちらから!
つまり、初心者〜中級者が試合で苦労するのは「相手に点を取られる」よりも「自分たちが反則や凡ミスで点を失う」ケースが圧倒的に多いということです。
これこそが、レクリエーション・インディアカにおける典型的な「敗者のゲーム」の姿です。
2. 初心者〜中級者は「敗者のゲーム」から抜け出せない
レクリエーション・インディアカを始めたばかりのプレイヤーや、基礎を習得しきれていない中級者に共通する課題は次の通りです。
- レシーブが乱れる → 無理に返して反則
- 強打を狙う → ホールディングを取られる
- ラリー中に迷う → 味方とぶつかりミス or お見合いでノータッチ
- サーブで緊張 → ネットやアウト
これらの多くは「相手が強かったから」ではなく、自分たちの処理精度・判断の遅れ・ルール違反から生まれます。
要するに、「敗者のゲーム」に陥っているのです。
この段階で勝ちたいなら、「相手に勝つ」のではなく“自分たちが負けない”プレーを徹底することが最優先となります。
3. 「敗者のゲーム」で勝つための戦術
初心者〜中級者がまず取り組むべきは、“相手に点をあげない”ことです。具体的には以下のような方法があります。
- 返球優先の判断:乱れたトスやレシーブでは無理をせず、とにかく反則にならない返球を選ぶ。
- 声掛けの徹底:「行く」「任せる」を早く大きく。かぶりを防げば失点は減る。
- サーブは安全第一:強打よりも“入れる”ことに価値がある。
- ネット際は慎重に:触れ方を間違えるとすぐ反則。安全な打点を優先する。
ここで大切なのは、「守りに徹する」のではなく、“負け筋を減らす”意識です。
凡ミスが減るだけで、試合の勝率は劇的に上がります。
4. 上級者になると「勝者のゲーム」が始まる
では、基礎が固まり、凡ミスが少なくなった上級者同士の試合はどうなるでしょうか?
この段階になると、ラリーは続き、両者とも簡単には崩れません。安全第一のルールに慣れ、反則を犯さずに確実にプレーできるようになっているからです。
すると試合の決着は「どちらが点を取り切れるか」、つまり決定力勝負=勝者のゲームへと移行します。
- フェイントを混ぜて相手の逆を突く
- ジャンプアタックで高さと角度を活かす
- 守備の境界を狙って“迷い”を生ませる
- ラリーの中でリズムを変え、揺さぶる
この段階では「安全に返す」だけでは不十分で、“狙うべき局面で狙い切る力”が勝敗を分けます。



5. 「狙わない勇気」と「狙うべき局面」
ここで重要になるのが、両者をどうバランスさせるかです。
- 乱れた場面 → 狙わない勇気
無理に決めにいくと反則やミスが増える。安全返球でつなぐ。 - 整った場面 → 狙うべき局面
相手守備が整う前に鋭く攻める。迷うと逆にカウンターを食らう。
つまり、レクリエーション・インディアカは「常に攻める!」のではなく、“攻める場面を見極められるか”が勝者への分岐点となるのです。
6. チーム戦術としての敗者・勝者理論
個人の判断に加えて、チーム全体としても「どこまでリスクを取るか」を共有する必要があります。
- 初心者中心のチーム → 「敗者のゲーム戦略」
とにかく凡ミスを減らす。返すこと・声をかけることを最優先。 - 経験者中心のチーム → 「勝者のゲーム戦略」
ある程度のラリーは耐えられる前提で、決定力を磨きにいく。 - 混成チーム → 「ハイブリッド戦略」
初心者・中級者が無理に攻めすぎないよう上級者が先導やカバー、得意な場面だけ狙って攻める。
7. 練習への応用
理論を理解するだけでなく、実際の練習メニューに落とし込むことで効果はさらに高まります。
- 敗者のゲーム脱却練習
→ 反則せずにひたすら「返すだけ」の返球練習。相手がミスをするまで守備を徹底。 - 勝者のゲーム以降練習
→ 攻撃パターン練習。ジャンプアタック、フェイント、リズム変化などを繰り返す。 - 耐え時・攻め時 判断練習
→ 監督・主将が合図で「攻る/粘る」を指定する。瞬時に判断を切り替える習慣をつける。
まとめ:二つのゲームを使い分けることが勝利への道
レクリエーションインディアカのルールは、安全性を重視するために精密に設計されています。
その結果、
- 初心者〜中級者 → 反則や凡ミスが多く、「敗者のゲーム」になりやすい
- 上級者 → 凡ミスが減り、決定力勝負の「勝者のゲーム」になる
この二つの構造を理解していれば、無理に攻めて自滅することもなくなり、逆に「ここぞ」という局面で点を取り切れるようになります。
大切なのは、“狙わない勇気”と“狙うべき局面”を両立させること。
これを実戦で体現できたチームこそが、確実に大会でコマを進め、最後に勝利をつかむのです。

