ミスをしたあと、「なんで取れなかったんだろう」ってプレー中もずっと考えてしまう——そういうことありませんか?特に「ミスのあとにまたミスが続く」という経験を繰り返している方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
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レク・インディアカが初めての方は、まず以下の記事を読んでおくと安心です😊



ミス直後、あなたの頭の中で何が起きているか
試合中にレシーブをミスしたとき、あなたはその直後に何を考えていますか?
「取れた球だったのに…」「チームメイトに申し訳ない…」「次もミスしたらどうしよう…」
こうした思考は、誰でも一度は経験するものです。ただ、これが問題なのはその思考が次のプレーに持ち込まれることです。頭がミスを反芻している間、体はすでに次のラリーの準備をしなければなりません。その矛盾が、さらなるミスを生み出します。
この記事では、ミスが起きた後に何をすべきかを具体的にお伝えします。プレーの技術ではなく、感情と思考をどう扱うか、その方法に絞って話していきます。
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ミスを引きずるスパイラルの正体
ミスが連鎖するとき、そこには決まった流れがあります。
まずミスが起きると、人は反射的に「なぜミスしたのか」を考え始めます。これ自体は悪いことではありません。問題は、その分析が「自己批判」に変わる瞬間です。「自分は下手だ」「あんな羽球も取れないのか」といった言葉が頭の中で繰り返されると、集中力が急速に落ちていきます。
集中力が落ちた状態で次のプレーに臨めば、当然また判断が遅れる。そしてまたミスが起きる。この繰り返しが、試合でよく見られる「ミス後の崩れ」の正体です。
重要なのは、「ミスを分析すること」と「ミスを引きずること」はまったく別物だということです。分析は「何が起きたか」を一瞬で整理する行為ですが、引きずるのは「なぜ自分は…」という感情のループです。試合中にできるのは分析だけで、引きずることに意味はありません。
レクインディアカの試合は15点先取でラリーが短く、次のプレーまでの時間も数秒しかありません。その短い間隔が逆に言えば、切り替えのタイミングを多く与えてくれているとも言えます。
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体でリセットするシグナルを決める
頭の中だけで「切り替えよう」と思っても、感情はすぐに言うことを聞いてくれません。そこで効果的なのが、体を動かしてリセットのシグナルにする方法です。
手をパンと一度たたく、足を地面に軽く踏み鳴らす、深呼吸を1回だけする。こうした動作を「自分のリセット動作」として事前に決めておきます。試合中にその動作を行うことで、「ここで気持ちを切り替える」という合図を体と頭に送ります。
スポーツ心理学では、こうした一定の手順を「ルーティン」と呼び、テニスやバレーボールの選手も積極的に取り入れています。大切なのは毎回同じ動作を使うこと。練習のうちから習慣化しておくと、試合中でも自然に発動できるようになります。
最初は意識的にやらないと忘れますが、練習のたびにミス直後に必ずその動作を入れることで、しだいに体が覚えていきます。
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「次!」の一言がミスした本人を助ける
チームスポーツであるレクインディアカでは、自分だけでなく仲間のミスにどう反応するかも大事です。ミスした仲間への声かけとして定番の言葉は「どんまい」ですが、実はもっと効果的な言葉があります。
それが「次!」です。
「どんまい」は「ミスをなかったことにしよう」という後ろ向きのニュアンスを持ちます。一方「次!」は「今はそこじゃなく、次のプレーに向けよう」という前向きの方向づけです。声をかけられたミスした本人も、「次」に意識を向けるよう促されます。
さらに言えば、仲間に「次!」と声をかける側の人間も、その言葉を口にすることで自分自身の思考がリセットされます。声に出すという行為は、頭の中の反芻を断ち切る力があります。
試合中に誰かがミスしたあと、チーム全体が沈黙してしまうチームと、すぐに「次!」と声が出るチームでは、その後の流れに大きな違いが出ます。これはミスした選手の問題だけでなく、チーム全体の雰囲気を保つためにも重要な習慣です。
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ミスの原因を「一言」だけ整理して、そこで止める
切り替えが大事だといっても、ただ「忘れろ」というのは難しいことです。人間の頭は「考えるな」と言われると、逆に考えてしまいます。
そこでおすすめなのが、一言だけ原因を言語化して、そこで思考を止める方法です。
「取れなかった」で終わらせず、「判断が遅かった」「ポジションがずれていた」と一言だけ具体化する。それ以上は試合中に考えない、と決めます。「分析の終着点」を自分で設定することで、頭が勝手にループし続けるのを防げます。
20秒という目安を作るのも一つの方法です。ミスしてから次のサーブが始まるまでの間に、「何が原因か」を一言だけ自分に言い聞かせる。それが終わったら、次のプレーの準備に100%切り替える。この「自分との約束」を繰り返すことで、徐々に引きずる時間が短くなっていきます。
詳細な分析は試合が終わってから、落ち着いた状態でやればいいのです。試合中にできることとできないことを分けて考えることが大切です。
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「過去は変えられない、できるのは次の1プレーだけ」
どれだけ後悔しても、すでに起きたミスは取り消せません。それでも頭がそちらに引き寄せられるのは、「あのとき違う選択をしていれば」という思考が作動しているからです。
この思考癖に対して有効なのが、繰り返し使う言葉(セルフトーク)を決めておくことです。
「過去のミスはもう変えられない。できるのは次の1プレーだけ」
この言葉を試合前から繰り返し頭に入れておきます。ミスした瞬間にこの言葉が出てくるようになれば、自然と思考が次のプレーへ向きます。言葉の力はバカにできません。
こうしたセルフトークは、陸上やテニスの選手が「自分を奮い立てる言葉」として使うものと同じ発想です。大事なのは自分にしっくりくる言葉を選ぶこと。「次行こう」でも「切り替え切り替え」でも構いません。試合前に一度決めておいて、繰り返し使うことで効果が高まります。
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チーム全体のミス後の文化をつくる
個人がメンタルリセットを意識するのと同時に、チームとして「ミス後の雰囲気」を整えることも試合結果に直結します。
まず大前提として、ミスした人を責めない雰囲気はチームの最低条件です。責めるような言動があると、選手は萎縮してミスを恐れるようになり、プレーが消極的になります。一方で「失敗してもOK」という雰囲気が整っていれば、挑戦的なプレーができるようになります。
もう一つ重要なのが、チームのキャプテンやベテランがミスへの対応の見本を見せること。「リーダーがミスしてもすぐに切り替えて動いている」という姿は、チームメイトに強いメッセージを送ります。逆にリーダーが下を向いたり黙り込んだりすれば、チーム全体の空気が一気に重くなります。
「このチームはミスしても前を向ける」という文化は、意図的に作らないと生まれません。試合の場だけでなく、練習からその文化を意識することが第一歩です。
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練習でメンタルリセットを鍛える
試合中に切り替えができるようになるには、練習中から意識して取り組む必要があります。
練習でミスが起きたとき、「ちょっと待って、なぜ取れなかったのか整理しよう」と動きを止めることがよくあります。その習慣自体は大切ですが、試合中に同じことをしてもラリーは止まりません。練習のなかでも、「ミスした後にすぐ次の動作に移る」という訓練が必要です。
具体的には、ラリー形式の練習を行うときに、ミスの直後に自分のリセット動作を入れてすぐポジションに戻る、という手順を意識してやってみてください。最初は不自然に感じても、繰り返すうちに自動化されていきます。
ミスの原因分析は、練習後の振り返りタイムにまとめてやるのが効果的です。10分でも「今日のミスのパターン」を仲間と話すことで、次回の練習でどこを意識すればいいかが明確になります。試合中の感情と、冷静な分析とを切り離して扱うこと、これが上達のペースを上げる鍵です。
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まとめ・今日から試せること
ミスを引きずることと、ミスから学ぶことはまったく別の行動です。試合中に必要なのは切り替えであり、分析は試合後の仕事です。
今日の練習でひとつだけ試してほしいのは、「自分のリセット動作を決めること」です。手をたたく、深呼吸、何でも構いません。ミスをしたら必ずその動作を入れる、というルールをひとつ作ってみてください。
切り替えが早くなると、同じミスをしても次のプレーの精度が変わります。結果として試合全体の流れも変わります。メンタルのリセットは才能ではなく、練習できる技術です。
